こんにちは!このブログでは、息子(20)がクライネ・レビン症候群(Kleine-Levin Syndrome, KLS)と診断され、治療を受けながら生活している様子を記録しています。今回は、息子が現在行っている治療法やその効果についてお話しします。同じ症状で悩んでいる方や、周囲にKLSの方がいる方に少しでも参考になれば幸いです。
クライネ・レビン症候群と診断されるまでの道のりは、こちら
クライネ・レビン症候群とは
KLSは、非常に珍しい神経疾患で、主な症状として以下が挙げられます
- 過眠:一度眠り始めると20時間以上眠り続けることがある。
- 認知障害:ぼんやりしたり、混乱したりすることが多い。
- 情緒の変化:感情が不安定になりやすい。
- 行動の変化:食欲が異常に増加したり、子供っぽい行動を取ったりすることも。
息子の場合、数週間にわたる過眠エピソードが周期的に発生し、その間は通常の日常生活を送ることが非常に難しい状態になります。発症のきっかけは、主に風邪などの感染症や、極度の疲れ、ストレスなどです。そのため無理をすることができず、体調のコントロールや活動の制限をしなければならないため、思い通りに活動することが困難です。そして、診察してもらえる病院が非常に少ないため、引っ越すことも難しくなっています。
息子は大学入学を機に、一旦実家を離れ、祖父母の元から通っていました。しかし、数ヶ月後に体調が悪くなったため、受診できる病院をかかりつけ医に探してもらったのですが、その地方では一軒も見つかりませんでした。(大都市です。)結局、息子は実家に戻り、現在大学は休学中です。
現在の治療内容
KLSには明確な治療法がまだ確立されていません。そのため、息子の場合も試行錯誤を繰り返しながら治療を続けています。以下は、息子が現在取り組んでいる主な治療法です。
1. 投薬治療
医師の指導のもと、以下の薬を使用しています
- 炭酸リチウム(下で詳しく解説)
- 症状の再発予防に使用される。
- 血中濃度を定期的にチェックしながら使用。
- エビリファイ
- 感情の安定や衝動性の抑制を目的に試される。
- ベタナミン
- 過眠症状の緩和に用いられることがある。
炭酸リチウムについて
KLSへの適用・使用例
炭酸リチウムを投与された患者の中には、エピソードの発生回数が減少したとの報告があります。ただし、全ての患者に効果があるわけではなく、効果が確認されなかったケースもあります。
エピソード頻度の抑制
一部の研究や症例報告で、炭酸リチウムがKLSの再発頻度を減らす可能性があるとされています。特に周期性のあるエピソードを持つ患者に対して有効である場合があります。
具体的な効果
炭酸リチウムがKLSの症状を完全に抑えるわけではありませんが、以下のような改善が期待される場合があります:
- エピソード間隔が広がる。
- 症状の持続時間が短縮する。
- KLSは非常に稀で研究データが限られているため、炭酸リチウムの使用に関するエビデンスはまだ少ないです。そのため、治療法は医師と患者が個別に相談し、症状や生活への影響を考慮しながら選択することが推奨されています。
2. 睡眠環境の最適化
- 過眠エピソード中は、体に無理をさせないように、快適な睡眠環境を整えています。
- 遮光カーテンや静かな寝室を使用。
- 定期的な室温管理。(室温があまり変化しないようにしている。)
3. 周囲の理解の獲得
- 学校には診断書を提出して理解してもらう。保健室の先生と仲良くなって、体調が悪くなった時に駆け込めるようにしておく。
- 家族が見守り、発症時に適切なケアをすることが重要。症状が周期的に現れるため、日常生活への影響は大きいものの、「一時的なもの」と割り切ることで前向きに対処することが、結果的に良い方向に向かっていくような気がしています。
治療の効果について
効果
炭酸リチウム投薬治療により、エピソードの頻度が少しずつ減少しています。息子の場合、最初200mgから徐々に量を増やし、現在、1日700mg服用しています。1年半服用していますが、服用後数日で効果が現れました。発症後、毎日のように癇癪を起こしていたのですが、徐々に頻度が減り、現在ではゼロではないものの、普通の大学生と変わらないレベルだと思います。過眠は時々現れますが、以前に比べて時間と期間がグッと短くなりました。最近一番酷かったのは、アメリカに旅行に行ったのですが、ハリウッドの路上で眠たすぎて道端に座り、寝てしまったことです。きっと本人は、ハリウッドの風景を覚えていないと思います。過眠とともに困っているのは、頭がぼんやりして勉強ができない、と言っています。まだぼんやりすることが多く、集中できないようです。
課題
- まだ完全にエピソードを予防することはできていません。
- 薬の副作用や長期使用のリスクを慎重に管理する必要があります。
- 学校生活が難しい場面も多く、今後の身の振り方を考える必要があります。
これからの展望
この病気は発症から完治まで平均14年かかると病院で説明されました。今は、完治させるのではなく、うまく付き合っていくことが大切だと考えるようになりました。そのためには治療を続けながら生活スタイルを都度最適化していくことが重要であると感じています。
また、KLSに関する研究が進み、より効果的な治療法が開発されることを願っています。その日が来るまで、自分の体験を共有し、少しでも同じ病気を持つ方々の力になれればと思います。
最後に
クライネ・レビン症候群は、まだ多くの人に知られていない病気です。そのため、周囲の理解を得るのが難しいと感じることが多いのは事実です。ですが、それぞれに合った治療法を見つけ、少しずつ前に進むことは可能です。
このブログを読んで、少しでもお役に立てることがあれば幸いです。家族の皆さんも辛いですが、一緒にこの病気と向き合っていきましょう!